苦しかった時の話をしようか 森岡 毅
目次
はじめに
著者は、正しい答えを見つけるために「考え方(フレームワーク)」を理解することが重要であることを踏まえ、
まずは社会の構造を直視し、その本質を把握する必要があると強調しています。
「フレームワーク」によって、個々がより深い理解と洞察を得ることができ、選択の質が向上するのです。
そして、最大の希望は、私たちが選択する自由を持っているということ。
自分の人生において、やりがいのあるものを選ぶ力を身に着け、それが本当の幸福につながっていると思っています
この「はじめに」は、読者に人生の選択について深く考えるきっかけを与え、自己探求の重要性を強調しています。
第1章「やりたいことがわからなくて悩んでいる君へ」
この章では、森岡氏が「自分のことを理解していないことが問題であり、そのために軸が定まっていない」と指摘しています。
軸を持てないことで、自分の進むべき方向が見えず、悩んでしまうと言うわけです。
著者自身は「経営者として必要なスキルを身に付け、自分の成長スピードを早くめ環境で働きたい」という明確な軸を持っていたため、
早い段階で自分の進む道を定めていました。
強調するのは、「今の全力の価値観で早く軸を持つこと」が大切であるという点です。
さらに、著者は幼少期から「自分は何者で、どんな特徴を持ち、どんな時に幸せを感じるのか」を認識することの重要性を説いています。
自分のことをわかっておくと自分にとって合う道を選びやすくなります。
ここで著者は、「不正解以外は全て正解」と言っています。
不正解とは、自分の特徴が全て裏目に出てしまう、情熱が見えない状況のことを向きます。
特徴を活かし、情熱を持って取り組むことがあれば、それは正解だと言えます。
第2章「学校では教えられない正解の秘密」
この章では、森岡氏が社会の現実と、成功のために必要な考え方を鋭く解説しています。
まず、「人間は平等ではない」という現実にこの「知力格差」は、
経済格差よりも重要であり、人はそれぞれ異なる特徴を持つため、個々が自分を最大限に活かす必要が
大事なことは、「自分の特徴を見据え、それを磨く努力をすること」、
そして「それを活かせる環境を選ぶこと」です。
自分の強みを、それを発揮できる場所を見つけることが成功への始まりです。
また、森岡氏は世の中には「自分の時間を使って稼ぐ人」と「他人の時間を使って稼ぐ人」の2種類がいるとあります。
知識のない者に罰金を科す社会」として、知識やスキルが不足していると損をする仕組みであることを強調しています。
続いて、業界の構造についても話し、「現場は職能によって決まる」ということを理解することの重要性を説いています。
例えば、カレー屋やラーメン屋でも、職能の違いによって成功度の多少の違いがあれど給料の差はそんなに出ない。
もし転職を考えるなら「給料を払える職能」を持つ仕事に転職するべきだと説いている。
だが、どの業界でもプロになれば、これまで培ったスキルと実績をベースに職能をステップアップすることが可能であるため、
自分の職能を高めつつ市場での自分の価値を常に意識することが必要である。
また、重要なのは「自分の目的に合致するかどうか」であり、
目的に合わない就職や転職では、どれだけ業績の良い会社に入っても意味がないとしている。
最後に、株のの購入についても話していて、「株を買う前に必要と構造について理解することが重要である」とし、
どの分野においても、事前に構造を理解することが成功の鍵であると結んでいます。
第3章 自分の強みをどう知るか
1. 仮説を立てて戦略を構築する
強みを特定する際に「仮説でいい」と考えるのは、完璧な答えを見つけるよりも行動を起こすことを重視しているからです。自分の目標や人生で達成したいことに基づいて、次のような具体的なステップを取ります:
- 「人生で達成したいこと」を問いかける
例:家族を養いたい、社会貢献したい、自分の才能を活かしたい。 - 目標から逆算して道筋を描く
家族を養う → 大学に行ける高校を選ぶ → 就職につながる大学を選ぶ → 稼げる職業に就く。
「納得性」と「一貫性」は、このプロセスを貫く鍵です。どのステップにも自分が納得でき、全体に一貫性があることが、長期的なモチベーションと成功を支えます。
2. 強みの源泉を探る
自分の強みは、「好きなこと」や「得意なこと」の中にある場合が多いです。しかし、それがすぐに分からない場合は次のようなアプローチが有効です:
- 自分が自然に打ち込めることを振り返る
遊びや趣味、過去に評価されたことなどから、自分が努力せずに成果を出せた領域を考える。 - 他人に聞いてみる
周囲の人が感じる「あなたの得意なこと」や「役立ったこと」を質問する。客観的な視点が新しい発見をもたらします。
3. 強みと環境のフィットを見つける
「特徴と環境がフィットした時に可能性が爆発する」という点は、個人の特性が最大限に活かされる環境を探すことの重要性を示しています。
- 自分の特徴
好きなこと、得意なこと、価値観や信念。 - 環境の条件
自分をサポートしてくれる人々、成長できる機会、仕事や役割の種類。
特徴と環境が合致すると、スムーズに成果を上げることができ、より大きな充実感や成長が得られます。
実行に向けたアクション
- 自分の目標や価値観を明確にする(例:「どんな人生を送りたいか?」)。
- 過去の経験を振り返り、「得意なこと」や「楽しかったこと」をリストアップする。
- 周囲の人に、自分の強みや特徴についてフィードバックを求める。
- 自分の仮説に基づき、小さな行動を起こし、経験を積む。
- フィードバックを受けながら戦略を調整する。
「仮説でいいので行動する」ことで、自分の強みや可能性を見つけるプロセスが始まります。
第4章 自分をマーケティングせよ
1. 伝え方より中身が重要
- ブランド構築の際に、言葉や伝え方を気にするよりも、「何を」「誰に」伝えるのかを明確にすることが大切。
- 表面的なスキルやテクニックより、提供する価値そのものが重要。
2. ブランドは「作るもの」
- ブランドは自然に「できる」ものではなく、意図を持って「作る」もの。
- 自分の軸や価値観に基づいた行動がブランドの核となる。
3. 一貫性と柔軟性
- ブランドに反する行動は避けるべきだが、状況に応じて「逃げる」柔軟さも必要。
- 「調子が悪いとき」に無理をするより、状況を見極めて休むことも重要。
4. 成長を続ける工夫
- 成長は「慣れ」の中では停滞しやすい。成功している状況に安住せず、あえてその「快適さ」を壊すことで、新たなチャレンジが可能になる。
このように考えると、個人のブランド構築には「継続的な自己認識」と「リスクを取る勇気」が不可欠と言えます。
一貫性を持ちながらも柔軟であり、常に自分を更新していく姿勢が成功の鍵になる。
第5章 苦しかった時の話をしようか
1. 苦しい時の視点を広げる
- 自分の存在価値を疑うような状況に陥ったとき、「自分だけ」ではなく「周囲」も視野に入れることが大切。
- 例として、「車10台を操縦する」という比喩は、周囲の人間や環境全体を把握し、適切に対応する必要性を示しています。個人の問題に閉じこもらず、全体像を見る余裕が求められます。
2. 新しい環境では最後尾からのスタートを想定する
- 社会に出ることの本質は、「自分ができる」と思っていたことが通用しない、新しい競争の中に放り込まれること。
- 最初から「一番できない自分」を受け入れることで、過剰な期待やプレッシャーを減らし、成長の余地を意識できる。
- 謙虚さをもって学び始める姿勢が重要。
3. 信念と行動を一致させる
- 自分が信じていないことを他人に信じさせるのは不可能。だからこそ、自分の信念に基づいた行動を取ることが求められます。
- 行動と信念が一致していると、自信を持って人と接することができ、周囲からの信頼も生まれる。
4. 自分の強みを理解し活用する
- 最終的に、戦う武器となるのは「自分の強み」。そのため、自分が何を得意としているのかを深く理解しておく必要があります。
- 他者と比較して落ち込むのではなく、自分だけの価値を見つけ、それを磨いて戦う。
5. 環境との向き合い方
- 強い人間とは、環境に適応する柔軟性を持つか、逆に環境を自分に合うよう変えられる人。
- 自分を変える努力と、環境を変える創造力のどちらか、あるいは両方が必要であり、その選択ができる力が「強さ」と言えます
この章を読んだ感想として、困難な状況や社会での試練に対する現実的で深い洞察が詰まっていると感じました。特に以下の点が印象に残ります。
1. 「苦しさ」に対する新しい視点
- 苦しい時、自分の内面だけに閉じこもるのではなく、周囲との関係や環境全体を把握しようとする発想は、視野を広げる大切さを教えてくれます。
- 「車10台を操縦する」という比喩がとてもユニークで、困難な状況でこそ俯瞰的に物事を見るべきだというメッセージが響きました。
2. 「最後尾からのスタート」の受容
- 社会に出ると、自分の価値や能力を再定義せざるを得ない状況に陥ることは避けられません。それを前向きに捉え、「初めから最後尾にいる自分を想定する」というアプローチは、とても実践的でありながら精神的な負担を軽くする助けにもなると感じました。
- この心構えがあると、プライドが邪魔をすることなく、謙虚に学ぶ姿勢を保てそうです。
3. 信念の重要性
- 自分の信念と行動が一致していることの大切さを改めて考えさせられました。信じていないことを周囲に伝えるのは無理、という指摘は当たり前のようで深い気づきを与えてくれます。
- 信念と行動が一致することで、自分の中に軸が生まれ、それが困難な状況でも揺るがない自分をつくるのだと思います。
4. 強みを活かす生き方
- 結局のところ、自分の得意なことや価値を見つけ、それを活かすしかないという部分に共感しました。特に、「他人と競争する」よりも、「自分らしい戦い方を見つける」ことが重要だと感じます。
- また、強い人間の定義として、環境に合わせる力と、自分に環境を合わせる力のどちらかを持っているべきという指摘も印象的です。これは、単に適応するだけでなく、主体的に環境を変える力を持つことの重要性を教えてくれます。
まとめ
この章を通じて、社会での成功や成長は、自分自身の心構えや行動次第で変えられるというメッセージが強く伝わってきました。特に、「苦しさをどう捉えるか」「どのように自分を磨いていくか」という普遍的な課題について、非常に具体的かつ現実的なアドバイスが盛り込まれているのが印象的でした。この内容は、個人の成長を目指す全ての人にとって有益なものだと感じます。