帆神 北前船を馳せた男・工楽松右衛門 玉岡かおる

本紹介

「夢の帆」は俺が作る――。江戸海運に革命を起こした男の堂々たる航跡! 播州高砂の漁師から身を起こし、豪胆な船乗りとして名を揚げ、時代を先取りする海商となった松右衛門。やがて千石船の弱点だった帆の改良に自ら取り組み、苦難の末に画期的な「松右衛門帆」を完成させて、江戸海運に一大革命をもたらすこととなる。あの高田屋嘉兵衛が憧れた、知られざる快男児を活写する長編歴史小説。

本の構成

第1章 金毘羅船 播州高砂

第2章 唐船 兵庫津

第3章 千石船 浪華

第4章 北前船 越後出雲崎

第5章 異国船 エトロフ

第6章 蒸気船 鞆の浦

感想

一人の男の成り上がりストーリー

工夫を楽しむ男 工楽松右衛門

昔は暴れん坊だったがある出来事をきっかけに我慢できるようになる

船乗りになり

常に人のために考えて行動する姿を

見て多くの協力者が現れて

最終的には身分を超える存在となる

胸あつな物語でした。

面白かったポイント

① 松右衛門を支える女たちの存在

3人ほど運命的な出会いをします。

奇跡的な出会いがありつつも結ばれない女性

気付いたら必要になっていた女性

男は一人では生きていけない

ということを強く感じました

女の方が肝がすわているんですね。

② 松右衛門を妬む存在

まさかの大出世ですからね

かなり妬まれます。

海に落とされたり、因縁をつけられて捕まったりします。

でも過去の過ちがあるからそこは我慢。

頭の中に論語が入っているので、思い出して堪えるわけです。

最終的に頼るものがあるってやっぱり強いと思いました。

しかしあの長い論語をよく覚えたな。

③ 帆の開発

江戸幕府の命により、船の改修がまぁ難しい。

好き勝手できないんですね。

だから帆を増やしたり、布に注目したりして

工夫するんです。

器用なので、なければ自分で作って見本を

弟子たちに見せちゃうのにはびっくりですよね

スーパー上司。

常により良い物作りを考えているのです

運び屋?作り屋?

どっちって感じです。

でもその二つの経験が後のち生きてくる

この世に無駄な経験なんてないんだなと思わせてくれます

最終的には

帆だけでなく船や港までつくっちゃうんですから

もはや超人です。

帆の改良により運送効率がかなり上がり、日本経済が活性化するわけです。

蝦夷地から早く帰ってくることができるんですね。

それを独占しないという心の広さに周りは度肝を抜かれます。

金儲けではなく

天下の発展を見ている。

大きな男なのでした。

江戸時代の流通を支えた船の動き

それをなんとなく捉えたくて読んだ本でしたが

船の大きさをなんとなく想像できたり、航海の危険さがわかったり

なんかこの世界を体験できた気がしています。

(寒い中を生き抜く人々、未開の蝦夷地を見た気がする)

武士やばいな(笑)


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