ミニシアターの六人 小野寺史宜

帯より

スクリーンは奇跡を映す

だから映画は人生の栞となる

題名と登場人物

記念 三輪善乃・・ミニシアターで働く、不妊治療の末に見事子を授かる。偶然きた末永に子供の名前をつけてもらう

思念 山下春子・・バツイチの教員。学生時代に野中に誘われ映画を一緒に見ることに。再上映を見ることで野中とつながるかもしれない自分を想像してしまう。

断念 安尾昇治・・映画監督を目指すが、末永の映画をみて諦める。諦めた結果が今の幸せにつながっていることを知る

無念 沢田英和・・会社員。後輩から好かれるも年齢を言い訳にして、前向きにならない。過去に彼女を友達に奪われる。その彼女と映画をみた日のことが忘れられない。

雑念 川越小夏・・20歳の誕生日を彼氏と祝う予定だったが、ドタキャンされる、一人で再上映の夜、街の隙間をみる。最初は彼氏に文句たらたらだったが、映画を見ることで心境に変化が現れる

一念 本木洋央・・末永静男の隠し子、ひょんなことから自分が映画を撮ることになる。夜街の隙間を見て、父を越えようと決意することができる

末永静男・・映画監督 夜、街の隙間を撮る。

末永たつお・・女優の土門と末永の子、愛人と隠し子のことを知り、父とは疎遠になる。追悼記念の映画に父が出ていることを知り思わず・・・

感想

人の描き方が素晴らしい。

見る人が違えば解釈も違う

それが見事に体現されていたと思います。

登場人物の視点を通して映画を見ることができる

読めば読むほど映画の構成を理解できるものとなっています。

自分は一度読みでは全体像をなんとなく捉えることしかできなかった。

何度も読むことではっきりしてくると思います。

スルメな本です。

さらに自分の置かれた状況によっても映画の見方が変わります。

学生の頃はこのキャラを見ていたけど

歳をとってみると違うキャラに自然に目がいってしまう

自分にそういう経験がないから

なるほどなと思わされました。

映画の中の人物は歳を取らないですからね

知らず知らずのうちに自分と重ね合わせてしまうのか。

とにかく深い本でした。

お気に入りの一冊になりそう。

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