オリンピックにふれる 吉田修一

本の帯より

分断された世界に希望は生き残れるか。

変貌をとげるアジアの街で人生の帰路に揺れる若者たち

コロナ下の東京に、オリンピックの幕が上がる

目次

香港林檎

「この香港のどこかをもう一人の自分が歩き回っているような気がして仕方ないんだ」

ボート選手枠で入社して10年、タイムが低迷する主人公はコーチから思わぬ宣言を受ける

上海蜜柑

「私たち、上海に住んでいるのよ。欲しいものは欲しいって、今、世界で一番言える街に」

怪我で体操選手を諦め、臨時体育教師になった主人公。結婚目前の恋人に初めてのチャンスが訪れていた

ストロベリーソウル

「頑張るって約束したじゃないか」

ソウルのスケート場で働く主人公は三回転ジャンプに挑む赤い練習技の少女に心を惹かれるが

東京花火

「誰も悪くない。なのに誰も幸せじゃないのはなぜだ」東京五輪が始まった。開会式を前に失踪した部下を探す主人公は国立競技場の前に立つ。

感想

物語全体を灰色が覆っている印象を受けた

華やかなオリンピックの裏で地味に生活している庶民。

有名選手になれずもがく人々

そのもがいている人々を近くで見ている人々

全く関係ない世界で生きている人々

これが帯のいう分断された世界なのかなと感じました。

暗い、抑揚のない物語。

きっと作者が意図した部分に自分は気づけていないと思う。

最後の物語の消えた部下がなぜ国立競技場を触りたかったのか

そうすることで世界と一つになりたかったのか

謎が残りました。


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