いえ 小野寺史宣

本の帯より

『ひと』まち』に続く新たな感動作、誕生!

妹が、怪我を負った。
案外面倒な兄なんだな、おれはーー。
家族と、友と、やりきれない想いの行き先を探す物語。

友がいて職場があって、
ひとが築く、まち。
その中に暮らす我が家。
近くて遠い、家族。

社会人三年目の三上傑には、大学生の妹、若緒がいた。
仲は特に良くも悪くもなく、普通。しかし最近、傑は妹のことばかり気にかけている。
傑の友だちであり若緒の恋人でもある城山大河が、ドライブデート中に事故を起こしたのだ。後遺症で、若緒は左足を引きずるようになってしまった。
以来、家族ぐるみの付き合いだった大河を巡って、三上家はどこかぎくしゃくしている。
教員の父は大河に一定の理解を示すが、納得いかない母は突っかかり、喧嘩が絶えない。
ハンデを追いながら、若緒は就活に苦戦中。家族に、友に、どう接すればいいのか。
思い悩む傑は……。

帯より

目次

三月 雨

四月 空

五月 花

六月 鳥

七月 風

八月 月

九月 川

十月 家

感想

ひとつの出来事でこんなにも家族の在り方が変わってしまう。

でも家だってそもそも

それぞれ違う人たちの集まりなんだからしょうがないよね。

その感じ方が違うということをいかに相手に伝わるか

そして分かってもらうか

ということは永遠のテーマな気がしますね

スーパーの店員の傑

大学生の若緒

主婦の母

高校教員の父

立場がそれぞれ違いすぎますもんね。

今回は足が動かなくなってしまった若緒を中心に話が回っていきますが

若緒が最後に家族に言いたいことを一言で言うのがとてもよかった。

「言いたいことはシンプルに」

現実世界でもそうですよね。

また、このお話は主人公の傑の変化の物語でもあります。

主人公はすごく嫌なやつなのですが、変わります。

過去を振り返り、反省して実行したからです。

「自分を客観的に見つめて、反省する」

これが手っ取り早く自分を変える方法だと気付かされました。

「あの人嫌だな」って思うと時には

必ず自分側にもなんらかの原因があると思うので

そこは早く謝ってクリアにしていった方が良いと思いました。

久しぶりに小説から何かを学んだ感じがしましたね。

よりリアリティを出すためなのか、描写が細かい。

「その人物の説明いる?」

って何度か思いましたが、

このくどさがより作品を身近にするのです。

面白かったです。

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