人を殺すとはどういうことか 美達大和
長期LB級刑務所・殺人犯の告白
先に残念な大人図鑑を読んでいたのが失敗だった
著者がどういう経緯で刑務所に行くことになったのか
どういう生い立ちだったのか
先に知っておいた方が
より現場のイメージが持ちやすかったと
今になっては思っています。
この本を読んで印象に残ったところだけをまとめていきます。
目次
拘置所で過ごす筆者の希望
・父より先に死ぬことがないように訴訟進行を考えること
・毎日必ず知識教養を増やして死ぬこと
・体を鍛えることを続けること
この3つを見て人間に必要なものは、頭と体ということを再確認した。
どんな場所に置かれても体は鍛えることができる
健全な肉体に健全な心は宿るという言葉をふと思い出しました。
具体的に著者が行ったことは、本を読み続けることとトレーニングだそうです。
文を読むとわかるとおり、言葉遣いが相当巧みです。
色々な言葉を上手に使い分けています。
だから文章に臨場感があります。
刑務所にいても人は十分に成長できるということがわかりました。
父の影響
著者の父の言葉です。
この教えは正しいものだと思います。
でも、できなかった時の仕打ちが相当厳しい
著者の生い立ちが前半で述べられているのですが、
真っ直ぐ育った理由がよくわかります。
本当の真っ直ぐです。
だから100か0かです。
自分を殺すか相手を殺すかの2択になってしまう
教育=洗脳と言われてもある意味おかしくないと思いました。
刑務所の中で
Bは日常生活の中で被害者のことを思い出すことはないと言っています。将来の希望はと聞くとはっきりと競馬の必勝法を確立することと答えました。
人を殺すとはどういうことか p163
全ての刑務所がとは言いませんが
更生施設として機能していないことが
わかる受刑者の一言です。
著者も本の中で何度も述べていますが
受刑者たちの過半数は反省などしていないどうです。
むしろ
『あいつのせいで今俺はこんなところにいる』
と逆恨みしている場合もあるとか。
恐ろしすぎる。
自己都合の塊です。
さらに
何を反省したかという話をすれば、事件の発覚の原因や不手際について反省し、次はもっと上手にやろうということになるのです
人を殺すとはどういうことか p276
最近の監獄はこういう人で溢れた悪党ランドとなっているそうです。
正常な人が異常と見做される世界が
あるということを初めて知り、
人間とはなんなのかということを改めて考えさせられました。
刑務所に入って変わった著者の心境
たった4口で終わる素っ気ないケーキが私に感激を与えるのです
人を殺すとはどういうことか p296
制限されているからこその喜び
著者は刑務所に入るまでは
なんでも手に入る生活を送っていたので
身近なものに幸福を感じることはなかったそうです。
刑務所に入ることで
新たな幸福に出会うとは、なんという皮肉。
ちなみに自然の美しさにも気づくことができるようになったそうです。
自由な世界で生きるか(自由な社会か)
制限された世界で生きるか(管理された社会か)
どっちがいいのかわからなくなります。
生き方についても色々と考えさせられました。
終わりに
題名から読むのを敬遠していましたが
読んでみると一人の男の生き様がありありと描かれて
とても引き込まれる内容となっていました。
人を殺すと罪の意識から逃げることはできない
逃げるためには罪を感じないほどの自己都合優先のヒトになるしかない。
とにかく人の迷惑にならないように生きることが大事です。
その視点さえあれば
刑務所に入ることはなさそうです。